あらすじ
塩の等級札を偽った罪を着せられ、婚約も仕事も家も失ったイツィアル。食事さえ受け付けず眠れない彼女を拾ったのは、塩商人のタナシスだった。煮込みを温め、裂けた手の包帯と寝具を替える日々のなか、匙半分だった食事は一皿へ、途切れていた眠りは朝鐘まで続くようになる。そこへ元婚約者が、売れない粗悪塩に彼女の等級印を貸せと迫ってきた。王都塩買付会館で俵を開き、三商家と塩汲み人たちの前で濡れ衣を晴らしたイツィアルが、旧家の報酬ではなく、毎日の食卓と鍵の掛かる寝室、自分の名で働ける新しい家を選び直すお話。