あらすじ
――ねえ、エリオット様。そんな風に、面倒な婚約者に対しても優しい貴方だから。私は願ってしまうのですよ。貴方には、心から幸せに笑っていてほしい、と。
リディア・クライスは寂れた伯爵家の長女として生まれた。そんな彼女が普通と違っていたところ――それは、国で一、二を争う圧倒的な魔力を持っていることだった。
彼女には十歳の頃、王宮の庭園で出会って以来、六年越しの婚約関係にある侯爵令息のエリオットがいた。だが、ある日、エリオットのかつての初恋相手であるアリエッタ王女の、隣国の王子との婚約破棄が報じられる。
昔から王宮の冷たい大人たちに「化け物」と忌避されていたリディアを、一人の人間として対等に扱ってくれたのはエリオットだけだった。そんな不器用だけど優しく、義理堅い彼が、自分の存在のせいで本当の想いを押し殺し、幸福を掴むチャンスを逃してしまう――リディアにとって、それは耐え難いことだった。
(……彼に嫌われ、速やかに「婚約破棄」を申し出てもらう。そして彼を、アリエッタ王女のもとへ送り出さなければ)
そう決意したリディアは、エリオットに嫌われるための「婚約破棄計画」を爆走させる!
彼女を逃がしたくない不器用騎士と、勘違いで突き進む恋愛ポンコツ令嬢の、じれったすぎる両片想いファンタジー!