あらすじ
仕事を辞めた25歳の女性、白瀬依央。
これまで一人で暮らしてきた彼女は、ある出来事をきっかけに、住んでいた部屋を離れなければならなくなってしまう。
途方に暮れていた依央に声をかけたのは、隣の部屋に住む女性――久住朔だった。
マンションの廊下ですれ違えば挨拶をする。
それだけの関係だった二人。
そんな朔から突然告げられたのは、
「うちの部屋、ひとつ空いてるけど」
という思いもよらない提案だった。
こうして始まった、期間限定の共同生活。
生活リズムも性格も違う二人は、最初こそ距離を測りながら暮らしていた。
けれど、一緒に食べる夕食。
何気なく交わす朝の挨拶。
休日の午後に並んで過ごす時間。
そんな何でもない日々を重ねるうちに、二人の間には少しずつ変化が生まれていく。
一人でいることに慣れていた依央。
誰かと暮らすことに慣れていなかった朔。
そんな二人にとって、いつしか互いの存在は、ただの「隣人」や「同居人」では説明できないものになっていく。
近すぎるから気づけない気持ち。
離れてみなければ分からない大切さ。
そして、言葉にすることをためらってしまう想い。
これは、何気ない毎日の中で少しずつ距離を縮めていく、二人の女性の物語。
あなたはいつから、「帰る場所」を家ではなく、誰かのいる場所だと思うようになっただろうか。
二人が過ごす、午後三時。
その何気ない時間から、二人の物語が始まる。