あらすじ
2046年、日本という国が世界地図から消えた。
富士山の噴火が、衰退しきった国にとどめを刺した。その混乱に乗じて政権を奪ったのが、韓国発のカルト宗教・共栄教会を母体とする独裁政党、共栄党だった。
教祖の名は、イ・キュイン。「救世真皇」を自称するこの男は、日本人を「原罪を負った民族」と断じた。憎悪を、"神の意思"だと言い切った。
2036年に米軍が去ったあとの極東の力の空白を、高麗連邦(実質・北朝鮮)と中国が埋めた。その後ろ盾を得た共栄党は、独裁を一気に加速させる。
国民の大量処刑。
それに耐えかねた東日本が、反乱に立ち上がった。だが、外国勢力の軍事支援を受けた政府軍がこれを鎮圧する。日本国は、消えた。代わりに生まれたのが「共栄国」だった。
支配地域は、信者以外の日本人が奴隷に落とされる収容所列島となった。支配の届かない西日本は、無法地帯と化した。
国を捨て、海を渡った者たちを待っていたのも、優しい世界ではなかった。差別と暴力。それだけだった。
世界は、見て見ぬふりをした。
国連も。
かつての同盟国も。
誰一人として、手を差し伸べなかった。
太平洋戦争よりも、はるかに長い。
そして、誰にも顧みられることのない「日本史上最悪の時代」。
それでも人々は、生き延びる道を探し続けた。
これは、滅びゆく国の記録である。
そして同時に――それでも立ち向かった人々の、物語である。