あらすじ
追放。覚醒。最強。ざまあ。
全部大好きだ。
――ただ、俺が書くと何故かそうならない。
物語が星となり、星が金と名誉になる世界。
物語術師レイヴは、売れる物語が大好きだった。
読むたびに笑い、叫び、自分でも星を投げる。
当然、自分でもそんな物語を書こうとする。
ところが――。
追放された主人公は復讐せず、田舎で畑を耕す。
覚醒するはずの男は、地道に剣を振り続ける。
世界を救うはずだった英雄は、たった一人を救って終わる。
「何でだよ!」
本人にも分からない。
結果、七年間で獲得した星はわずか十二個。
そして、ついに。
「レイヴ。君をこのギルドから追放する」
自分まで、憧れの“追放展開”を食らってしまった。
「……来た」
なら次は覚醒。
謎の美女。
伝説の力。
そして元ギルドへの華麗なるざまあ。
――のはずだった。
何も起きない。
雨の夜。
行き場を失ったレイヴは、小さな酒場で右腕と仲間を失った冒険者グリムと出会う。
「何か書けるか」
「何を?」
「眠れる話」
その夜。
星ゼロの物語術師が書いた一つの物語が、誰にも知られていなかった力を初めて世界へ呼び起こす。