あらすじ
魔法と科学が融合し、現代日本を遥かに超える文明を持つ異世界――アルヴェリア。
空飛ぶ乗り物も、魔導コンピューターも、便利な魔法も存在するこの世界には、なぜか一つだけ発達していないものがあった。
それは――料理。
肉も魚も野菜も、基本は「焼いて塩を振る」だけ。
そんな食文化に耐えられなくなった食いしん坊の女神オスシは、日本から一流料理人を召喚する。
呼ばれたのは、25歳の料理人・坂井。
料理には一切妥協しない彼は、異世界の食材を見て驚く。
「……こんなに良い食材なのに、もったいない」
出汁、味噌、醤油、発酵、天ぷら、寿司――日本の料理技術を異世界の食材と組み合わせ、坂井は王都の片隅で小さな屋台を始める。
そこで最初に出した料理は、おにぎり。
一口食べた冒険者が呟いた。
「……うまい」
その一言から、異世界の食文化が変わり始める。
そして坂井の前に現れたのは、王都でも有名な凄腕エルフの冒険者。
戦えば無敵の彼女だが、坂井の料理を食べた瞬間、あっさり胃袋を掴まれてしまう。
やがて彼女は坂井の料理を食べるだけでなく、食材探しや護衛、店の手伝いまで始めるようになる。
屋台から小さな料理店へ。
小さな料理店から王都一の名店へ。
坂井は料理を通じて、冒険者、商人、貴族、王族、エルフ、ドワーフ、魔族たちと出会い、異世界そのものの食文化を変えていく。
しかし、坂井には一つの疑問があった。
なぜ、この世界はここまで文明が発達しているのに、料理だけが発達していないのか?
そして、なぜ女神オスシは数ある世界から、坂井を選んだのか。
やがて明らかになる、異世界の文明と料理に隠された秘密。
これは、一流料理人・坂井が「美味しい」という幸せを異世界に広めていく、料理と冒険と恋の成り上がり物語。