あらすじ
九条蓮(くじょう れん)は、日本トップクラスのSランク探索者だった。
効率と最速攻略を至上命題とする傲慢な天才。しかし、己の慢心が招いた深層での強行軍は、自身以外のパーティメンバーを全滅させるという最悪の結末を迎える。
ボスの呪いを浴び、死の淵で彼が目を覚ますと――そこはダンジョンの浅層。
そして水たまりに映っていたのは、魔力も筋力も完全にロックされた「10歳の非力な子供」の姿だった。
スライムにすら命を脅かされる彼を拾ったのは、万年Fランクの底辺パーティ『野良犬の盾』。
彼らは効率度外視でお人好し、稼ぎの大半を赤の他人の治療費に回してしまうような、かつての蓮が最も見下していた「弱者」たちだった。
「どうして、あんなクズだった俺を助けるんだよ……」
彼らの不器用な優しさに触れた蓮は、密かに決意する。
ステータスは上がらない。大魔法も撃てない。重い剣も振れない。
ならば、前世で培った「Sランクの裏知識」と「環境を利用した罠」で盤面を支配し、誰にも気づかれない裏方としてこの底辺パーティを勝たせてみせる。
決して表舞台には立たず、最強の座も名声もいらない。
これは、全てを失った男が小さな体に過去の罪を背負い、泥臭く足掻きながら、今度こそ「家族」を生きて帰すための贖罪の物語。