あらすじ
「荒地開拓伯の権限を正式にわたくしへお渡しくださいまし」
父の死を三年間隠し、その官印を使って魔寄せの森を統治してきた十八歳の令嬢、アクシス・キリハルト。
三十年かけて森を拓き、六つの村と畑、道、水路を築き上げた末、彼女は王都へ開拓完了を報告する。
そして同時に、父が三年前に死んでいたことも自ら告白した。
だが、荒地開拓伯は一代限りの官職。
継承は認められず、アクシスは王都追放、六十日以内の統治権返還を命じられてしまう。
さらに王国と聖樹教は、開拓地へ世界樹の聖苗を植え、土地を聖域化しようとしていた。
世界樹には、本当に大地を清める力がある。
けれど根づけば、村人の畑も、井戸も、薪炭林も、墓地さえも教団の管理下へ入る。
ならば――根づかせなければいい。
「根づく前なら苗木。根づいたあとなら侵略ですの」
双頭大戦斧《フロンティア》を担ぐ追放令嬢は、開拓民、家臣、王都の剣士、そして聖女まで巻き込みながら、斧と土木と書類を武器に六十日間の戦いを始める。
道を直し、根を切り、契約を掘り起こし、世界樹さえ立ちはだかるなら――伐る。
これは、父から受け継いだ土地を守る物語ではない。
そこで生きてきた人々が、自分たちの土地を取り戻す物語である。