あらすじ
王太子の婚約者として、王宮会計部で働いていた伯爵令嬢リディア。
各部署の予算調整、税収予測、仕入れ交渉、不正会計の確認――膨大な実務を陰で処理していた彼女だが、周囲からは「婚約者だから王宮にいるだけ」「数字を書き写す地味な令嬢」と軽視されていた。
そんなある夜、王太子から「仕事ばかりで可愛げも華もない」と公衆の面前で婚約破棄を告げられる。
リディアは泣きも縋りもせず、淡々と答えた。
「承知しました。それでは、王宮会計官の職も辞させていただきます」
代わりはいくらでもいる――王宮の人々はそう考えていた。
王宮を去ったリディアは、若き商会長レオンに実務能力を見いだされ、赤字の輸送事業や不透明な帳簿を次々と改善していく。初めて仕事を正当に評価され、新しい居場所を得るリディア。
一方、彼女を失った王宮では、小さな予算ミスが連鎖し始めていた。
重複発注、契約価格の高騰、税収予測の誤り、軍事予算の不足。
そこでようやく、人々は気づく。
問題がなかったのではない。リディアが、問題になる前にすべて処理していたのだと。
「王宮へ戻ってくれ。婚約についても考え直したい」
今さら懇願する元婚約者に、リディアが返した答えは――。
不当に軽視された有能令嬢が仕事で評価され、自分自身の幸せをつかむ、お仕事×婚約破棄×静かなざまあの異世界恋愛短編。