あらすじ
雨の夜、売れない恋愛小説家・藤堂桜は、人気のない公園で泣いている少女と出会った。
その少女の正体は、かつて桜が愛した女性・朝倉美緒の妹、美玖だった。
大学時代、桜にとって美緒はかけがえのない存在だった。しかし卒業後、美緒は海外へ留学し、二人の関係は少しずつ遠ざかっていった。そして数年後、美緒から届いたのは――「結婚が決まった」という知らせ。
過去の恋を引きずり、恋愛小説を書けなくなっていた桜。
そんな彼の前に現れた美玖は、恋人との別れをきっかけに心を傷つけ、誰にも頼れずにいた。
「私は、お姉ちゃんが桜さんを見る顔が……ずっと嫌でした」
幼い頃から姉の恋人だった桜に、密かに恋心を抱いていた美玖。
けれどそれは、姉を裏切る感情だと思い、ずっと胸の奥に閉じ込めていた。
一方の桜も、美緒の妹だから放っておけない――そう思っていたはずだった。
しかし、泣き疲れて眠る美玖の手を握った瞬間、桜は気づいてしまう。
自分が彼女を救いたいのは、同情でも過去の恋への未練でもない。
「美緒の妹だからじゃなくて、美玖ちゃんだから傍にいたい」
雨の夜に始まった、二人の奇妙な同居生活。
過去の恋に区切りをつけられない小説家と、ずっと届かない恋を抱えていた少女。
姉の結婚をきっかけに交差し始めた二人の想いは、やがて「家族の妹」という境界線を越え、桜自身の新しい恋へと変わっていく。
雨が止んだその先に、二人を待つ未来とは――。