あらすじ
彼女が死んでから、七年。
三十歳の誕生日を迎えた僕は、久しぶりに彼女との思い出を振り返った。思い出すのは、旅行や特別な日ではない。
帰り道に立ち寄ったコンビニ。
寒い日に食べたアイス。
くだらないことで笑ったこと。
何気なく交わした会話。
そんな、何でもない日々ばかりだった。
けれど、そこで僕は気づいてしまう。
彼女との時間を少しずつ忘れている。
忘れたくないと思っていたはずなのに。
彼女が生きていた頃の記憶が、いつの間にか僕の中から抜け落ちている。
そんな夜、昔使っていたノートから一行の言葉を見つける。
『次は、あの場所に行く』
そこに場所の名前はなかった。
なぜ自分がそんな言葉を残したのかも、思い出せない。
僕はノートを手に、彼女と過ごした場所を巡る旅に出る。
そこで待っていたのは、忘れていた思い出と、もう一度彼女に出会うような時間だった。
そして旅の終わり。
僕は、彼女が残していたものの本当の意味を知ることになる。
これは、忘れてしまった記憶を取り戻しながら、もう一度大切な人と向き合う、一人の青年の物語。