あらすじ
辺境で「採集屋」を営むヒナゲシは、魔物の討伐跡から骨や薬草、魔石などを拾い集め、それを売ったり薬にしたりして暮らしている。
ヒナゲシがある日、森の奥で拾ったのは――瀕死のおじさまだった。
どうにか一命を取り留めたおじさまは、自分の名前すら思い出せない記憶喪失状態だった。
行くあても金もないというので、ヒナゲシは治療費代わりに店を手伝わせることにした。
「あなたは、ご自分の価値を少々低く見積もりすぎでは?」
ヒナゲシの薬作りの腕を見抜いたおじさまによって、あれよあれよのうちに店は大繁盛!
こうして二人で暮らす日々にも慣れてきたころ、王都から一人の騎士がやってくる。
そして男の顔を見るなり、信じられない言葉を口にした。
「なぜ、あなたが生きているのですか――ユウゲン・ベルクマン卿」
ヒナゲシが拾った男の正体は、命を落としたはずの英雄。
若き王子を『表舞台の英雄』へと育て、その影で王国を守り続けてきた男だった。
「捨ててあるからって、価値がないとは限らないんですよ」
これは、一人で生きることに慣れすぎた採集屋と、
誰かのために生きることに慣れすぎた元英雄が、
辺境の小さな店で互いの人生を拾い直す物語。
ヒナゲシ「ところで、最近なぜか女性客が増えたんですよね」
ユウゲン「それはいい! 薬の評判が広まったのでしょう」
常連客(絶対、違う……)