あらすじ

「ハヤクチ」――それが僕、早川邦人の不名誉なあだ名だ。 大好きな漫画『パリコレ』について熱く語った中学時代の発表会。 その「早口」を笑われたことをきっかけに、僕は人前で話すことをやめた。 高校でも目立たず、ひっそりと過ごす。 それが僕の選んだ生き方だった。 そんなある日の放課後。 西日の差し込む教室で、クラスの人気者・ハルカが僕に声をかけてきた。 「それ、もしかしてパリコレ?」 彼女もまた、誰にも言えない『パリコレ』の原作ファンだった。 昼間は、地味なオタクとクラスの人気者。 けれど、夜になればLINEで作品について語り合う同志。 好きなものについて話すと、僕はどうしても早口になる。 それを彼女は笑わなかった。 「語りたい相手がいる時ほど、早口になる気がする」 僕のコンプレックスを「情熱」と呼んでくれた彼女との時間は、少しずつ僕を変えていく。 ――けれど、そんな秘密の関係は、一本のメッセージによって崩れ始める。 ハルカの誤送信。 それをきっかけに、二人の関係に周囲の視線が集まり始める。 彼女を守るために、僕が選んだのは――再び「ハヤクチ」と笑われることだった。 「俺みたいなのと仲良くしてるってだけで、笑われるから」 教室では交わらない二人。 スマホの中では、誰よりも近い二人。 すれ違う二人の想いは、やがて文化祭のある企画へと繋がっていく。 これは、自分の「好き」を隠して生きてきた少年が、誰かと語り合うことの楽しさを取り戻していく物語。

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小説を読もう2026/08/30
  • 現在の作品早口の主張ー届いた拍手ー