あらすじ

帝国タリスは圧倒的な軍事力を背景に各国を属州化していた。しかし武力だけでは長期的な統治はできない。そこでタリスは、元奴隷たちを教育し、各地へ派遣して復興・生活指導・技術支援を行う「派遣民制度」を築く。彼らは現地の文化や法律を尊重しながら、農業、交易、衛生、産業、精神面の問題を解決し、属州国の生活と経済を立て直していく。 一方、タリスでは法の番人として自律型兵器「巡回人」が運用される。巡回人は「人の生活基盤を壊し、搾取し、逃げ道を奪う者」を脅威として裁く。王はこれを強力な抑止力として維持し、タリスの統治には軍事力と制度、そして派遣民による信頼形成が組み合わされていく。 派遣民たちは各地で、神話と法律に縛られた民衆、宗教に起因する精神的混乱、家畜伝染病、環境汚染、経済格差などに直面する。ベルは「救世主騒動」や精神的な問題を穏やかに収束させ、タッカーは疫病を封じ、カルナは産業と環境を両立させる。サラはタリスの軍票を利用して地域経済を再編し、やがてセレニアは独自の経済圏と紙幣制度を確立する。 その間、タリスの支援を受けたノアリアは、各国の技術を研究・改良し、高品質な生活用品やワインを世界へ広める非武装国家へ成長する。タリスは当初、ノアリアを自国の影響下に置くことを望んでいたが、次第に「ノアリアこそが武力に頼らない新しい秩序を世界へ広げる存在」になることを望むようになる。 やがて経済的・制度的な自立が進み、タリス帝国そのものも解体へ向かう。軍事力を失った後、ノアリアへ新勢力ラサ族が侵攻するが、ノアリアは軍事力ではなく、食料・紙幣・交易網・インフラ・派遣民によって侵攻軍を孤立させ、最終的に協定へ導く。 こうして、タリスが武力で築いた帝国は、かつて支配した人々の知恵と自立によって「脱皮」する。タリスの願いは、ノアリアを新たな覇者とすることではなく、武力による支配そのものを必要としない世界を作ることだった。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/08/30
  • 現在の作品ノアリア叙事詩