あらすじ

一九三四年、満洲国・新京。国家の資源配分を数理的に解く巨大演算装置《機関》が据えられた。鋼板の上を鋼球が転がり、最適解を弾き出す。答申に誤りはない。機関は、一度たりとも間違えたことがない。 商工省から派遣された若き技官・沢田昌一は、この完璧な装置に技術者としての誇りを重ねる一人だった。だが北の開拓村で彼が目にしたのは、機関の答申どおりに配分された防寒具の不足と、雪の中で凍えていく開拓民の姿だった。 数字は正しい。計算に誤りはない。ならばこの死は、誰の責任なのか。 機関はその死を「損耗」と呼び、寸分違わず計上した。満洲国という巨大な実験場を舞台に、「正しさ」だけで統治された国家の恐怖を描く歴史改変SF。機関は悪意を持たない。だからこそ、誰にも止められない。

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カクヨム2026/08/30
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