あらすじ
伝説の女王アマルティアと、大逃げの旅人ウインドベル。
二人が競駆の世界を去った数年後、一人の少年が生まれた。
名は、ベルアマード。
駆人と呼ばれる人間たちが、自らの脚でターフを駆け、速さを競う世界。
最強の母と、誰よりも前を走り続けた父。その血を受け継いだベルアマードには、生まれた時から大きすぎる期待が向けられていた。
「アマルティアの息子」
「ウインドベルの後継者」
けれど、ベルアマードが望んだのは、両親の伝説の続きを演じることではない。
誰かの子ではなく、自分の名前で呼ばれたい。
自分の脚で、一番前の景色を見たい。
二歳王者となり、世代最高峰の三冠競走「リュニーク」へ挑むベルアマード。しかし、怪物と呼ばれるライバルたちとの戦いは、才能と血統だけでは勝てない現実を彼に突きつけていく。
勝利。敗北。恐怖。挫折。
そして、自分は何のために走るのか。
後に“黄金の血脈”と呼ばれる一族。
これは、その始まりとなった一人の駆人が、両親の影を抜け出し――ベルアマードとして先頭を走るまでの物語。
※「競駆」は、競馬の文化・血統・世代戦などをモチーフに、人間が自ら走る競技として構築した架空スポーツです。