あらすじ

「本件は、探索者本人の実力不足による事故と判断されました。以上です」 協会の記者会見は、いつもこの一文で終わる。四十一件。全部そうだった。 綿貫修司、四十一歳。ダンジョン協会・災害調査室の調査官。十九年間、死亡事故の現場に入り、壊れた装備と残されたログから「何が起きたか」を復元し続けてきた。書いた報告書は四百通を超える。勧告が採用されたことは、一度もない。 三月、第七区画。二十二歳のE級探索者が死んだ。協会の発表は「無理な単独潜行」。 だが現場のロープは、**上から**切れていた。 下から引かれて切れたのなら、彼は逃げていたことになる。上からなら——彼は最後まで、誰かを引き上げようとしていたことになる。 遺族の前で、綿貫は言った。「彼は逃げていません」 その日から、協会は彼の部署を畳みにかかる。 力では何も変わらない。変わるのは、書類が一枚、正しく書き直されたときだけだ。 これは、誰にも読まれなかった報告書が、英雄と呼ばれた男の墓を掘り返すまでの記録。 * 全30話・毎日更新・完結まで書き上げ済み。

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小説を読もう2026/08/30
  • 現在の作品協会は「実力不足」と発表した。俺の報告書には「装備の設計不良」と書いてある 〜ダンジョン災害調査官・十九年ぶんの記録が、英雄と呼ばれた男の墓を掘り返すまで〜