あらすじ
一千年前、ヒトが空を飛んだ。ついに人類という種は惑星間を自由に行き来する技術を得た。
空は真っ黒にどこまでも続き、ヒトはそこで無限の世界を見た。
そして、ヒトがその時初めて地球という檻から飛び出したのと殆ど同時に、《《彼ら》》は現れた。
最初に出会ったのは浅緑の肌に、複数ある瞳と、自分達には似ても似つかない個体。身の丈は同じ程だが、胴は短く手足の長い奇妙な生き物だったと、ヒトは後に語る。
ヒトは怯え、あるいは昂ぶった。そして持てる限りの手段をもって尋ねた。「何故今まで姿を見せなかったのか」と。
彼らは答えた。それも、ヒトの言葉で。
「自然保護は連合の協定により定められている。我々は、そこが自然ではなく文明のある土地だと解したから接触したのだ」
――その時、ヒトは理解した。彼らにとって、惑星航行など必要最低限の文明でしかなかったことを。そして彼らは一種族だけでなく、組織を作り協定を結ぶ必要があるほど多種多様に存在していることを。
かくしてヒトの世界は広がった。多くの種族と触れ、時には争い、徐々に彼らに連なるほどの高度な文明を持つと、やがて彼らの銀河協定にその印を押すこととなった