あらすじ

幕末。 新選組で忍び・諜報を務める千歳は、吉原で一人の少女と出会う。 名は志乃。十八歳。 人の世の常識にはひどく疎いくせに、山、薬草、毒、傷の処置については千歳よりも詳しい。 そして彼女は、ごく当たり前のことのように言った。 「妖怪さんに教えてもらいました」 当然、千歳は信じない。 だが、見えないはずの何かを避ける志乃。 誰も知らない山道を知る志乃。 何もない場所へ話しかけ、その直後に実際の危険が回避される。 説明できない事実が、少しずつ積み重なっていく。 人と妖怪。 新選組と新しい時代。 正確な報告と、それを受け取る者の判断。 何が正しいかを見極めることには慣れていた千歳だったが、やがて気づく。 相手について何もかも調べることと、 本人が何を望んでいるのか知ることは、同じではない。 そして、どれほど正確に危険を伝えても、 その情報が誰かの判断へ届かなければ、人は守れない。 何でも器用にできた男が最後に手に入れるのは、 正解ではない。 名前を呼べば振り向く人がいたという、 小さな記憶だった。

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エブリスタ
エブリスタ2026/08/29
  • 現在の作品千歳は、最後に名前を呼ぶ。