あらすじ

子爵令嬢レティシア・フォン・アルバンは、布の目を見るだけで産地・品質・偽造を見抜く鑑識眼を持っていた。六年間、侯爵嫡男リオンの婚約者として王室の衣装管理を担い続けたが、その仕事を「令嬢の余技」と吐き捨てたのはリオン本人だった。 同性令嬢ゾフィーが六年分の仕立て記録を奪い取り、婚約解消が告げられた翌朝、レティシアは静かに王都を去る。 それから半年。王都外れで織物商ヨハン・クレストの鑑定士として働くレティシアのもとに、宮廷から緊急使者が現れる——王家の外交衣装に偽造布帛《ふはく》が紛れ込み、隣国ファルメンとの晩餐会まで三日しかないというのだ。 六年分の縫い目が、誰が真実を見ていたかを証言する。

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小説を読もう2026/08/30
  • 現在の作品王家の衣装に偽の布——見抜ける目は、もういない