あらすじ
旧華族・水城家の令嬢、水城紗英は、祖母の葬儀で一通の通知を受け取った。
海辺の旧邸、月影邸。売却すれば水城家の負債を消せるはずだったその屋敷は、祖母が秘密裏に作った「保存信託」の対象になっていた。しかも、120日間の共同管理人に指定された相手は、かつて水城家を没落させたとされる鷹城家の御曹司、鷹城朔。
朔の家は、二十七年前の東蔵火災のあと、月浜の土地を買い取った。紗英は鷹城家を敵だと思っている。朔もまた、水城家が火災の記録を隠したと疑っていた。
それでも月影邸を守るには、二人の署名が必要だった。
屋敷の雨漏り、駅前の解体計画、拒絶する市場、焼けた台帳。調べるほど、両家が互いを責めるだけでは説明できない証拠が現れる。
真実を公表すれば、紗英は家名を失い、朔は後継者の座を失う。
敵の御曹司と同じ鍵を持つ120日。家を継ぐとは、家の罪を隠すことなのか。それとも、返すべきものを返して、誰もが入れる庭を残すことなのか。