あらすじ
人々を癒し、国を守り、誰からも愛される聖女エリシア。
けれど彼女には、自分の人生を選ぶ自由さえなかった。
眠る時間も、食事の時間も、休む日も――すべて誰かが決めていた。
そんなある日、エリシアは他人を強制的に従わせる「黒い糸」の力に目覚める。
最初の願いは、たった五分だけゆっくり朝食を食べることだった。
「座って」
その一言に、誰も逆らえなかった。
休みたい。
断りたい。
自分のことくらい、自分で決めたい。
ただそれだけだったはずなのに――。
やがて黒い糸は友人へ、騎士へ、貴族へ、そして王へと伸びていく。
自由を求めた聖女が、他人の自由を奪う存在へ変わっていく物語。
これは堕落なのか。
それとも、彼女が初めて自分自身の人生を選んだ結果なのか。