あらすじ
聖剣に選ばれ、世界の救世主たる「勇者」となった少年、ウィール。
だが、剣を抜いたその日から、彼の心は死んだ。
感情を失い、作業のように魔物を引き裂き、時に人すら容赦なく切り捨てる。
その姿は救世主などではなく、まるで殺戮機械だった。
共に旅立つ幼馴染の魔法使いダリアンは、変貌した親友に問いかける。
——勇者とは、一体何なんだ?
勝手に与えられた「ピン」という大層な家名。大人たちの政治の道具にされ、遠い存在になっていく親友。
ダリアンが望むのは、世界を救う英傑ではない。昔のように笑い、「ダリア」と女みたいな愛称で呼んでくれた、ただのウィールを取り戻すことだけだ。
たとえ神を呪い、世界を敵に回すことになろうとも。
奪われた親友の「笑顔」を取り戻すための旅が始まる。