あらすじ

39歳、独身。 施工管理会社で働くひろきには、結婚して家庭を築き、子供を持つというささやかな夢があった。 しかし、ひろきには一つの大きな問題があった。 ――人から頼まれると、断れない。 地元の仲間たちで結成された「南河内連盟隊」。 そこでは、飲み会と博打が繰り返されていた。 酒に弱いひろきは、毎回のように仲間から酒を飲まされ、飲み代まで全額支払わされる。 麻雀では一人負けを繰り返し、これまでの負け金額は一千万円を超えていた。 それでも、ひろきは仲間から離れることができなかった。 飲み会の影響で仕事にも遅刻し、ミスを重ね、会社からの信用も失っていく。 そんなある水曜日の夜。 いつものように仲間から飲み会の誘いが届く。 断ればいい。 帰ればいい。 車を運転しなければいい。 ――それだけだった。 しかし、ひろきはその「当たり前の選択」をすることができなかった。 水曜日の夜から始まった酒宴は木曜日の朝まで続き、競艇、そして木曜日の夜の飲み会へと繋がっていく。 そして金曜日の朝。 まだ酒が残った状態で、ひろきは車のハンドルを握ってしまう。 その先で待っていたのは、一人の高校生との衝突事故だった。 事故直後、高校生にはまだ息があった。 ひろきは救急車を呼ぶこともできた。 助けることもできた。 しかし――恐怖に負け、逃げてしまう。 逃走中に起こした単独事故。 警察による飲酒検査。 そして知らされる、最悪の知らせ。 高校生は死亡した。 ひろきは逮捕され、裁判にかけられる。 これまで彼を飲み会や博打に誘い続けた「仲間」たちは、責任を取ってくれるのか。 そして、ひろきが夢見ていた「結婚」「家庭」「子供のいる人生」はどうなってしまうのか。 これは、飲酒運転によって一人の命を奪い、自分自身の人生までも失った男の物語。 そして―― 「断ることができなかった」男が、最後に知ることになる、本当の責任の物語である。

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カクヨム
カクヨム2026/09/19
  • 現在の作品『断れなかった男――飲酒運転の果てに』