あらすじ
伯爵令嬢オレリアは、婚約者であるフィリベール・アルトーの邸で行儀見習いをしている。
女学院に通う令嬢にはよくある実習であり、婚約者も当然知っているはずだった。
ところがある日、学院の寮にいるはずのフィリベールが、幼馴染みの令嬢ナディアを連れて帰省してくる。
「なぜここにいるんだ?」
(……手紙でお知らせしましたけど)
しかもフィリベールとナディアは、愛称で呼び合うほど親しいらしい。
手紙は届かない。
会う約束もない。
帰省の予定も知らされない。
それでもフィリベールには、オレリアを蔑ろにしているつもりなどなかった。
なぜなら、アルトー家には「多くを語らない」という家訓があるから。
――けれど、語らないことで守られるものもあれば、壊れてしまうものもある。
これは、言葉が足りなかった婚約者たちと、いくつもの勘違いから始まったすれ違いの物語。