あらすじ
王都の建築公会を追放され、帰る場所を失った青年ヨナス。
冷たい雨の荒野で倒れていた母子を救いたいと願った瞬間、彼の前に黄金の設計図が現れる。
それは、誰かが本当に必要としている建物を「一日に一つ」だけ造ることのできる、不思議な力だった。
母子のための家。
旅人を救う井戸。
病人を守る診療所。
人々が集う広場。
ヨナスが建物を造るたび、何もなかった荒野には人が集まり、やがてその場所は「雨宿」と呼ばれるようになる。
しかし、その力には一つだけ大きな制約があった。
――ヨナスは、自分自身のための家だけは建てることができない。
人に居場所を与え続けながら、自分だけは居場所を持てない青年。
やがて王都からの監査、盗賊の襲撃、そして力に隠された真実が雨宿へ迫る。
これは、町を造る英雄の物語ではない。
帰る家を失った一人の建築士が、誰かのために屋根を架け続け、最後に自分も「お帰り」と迎えられるまでの物語。