あらすじ
「貴様の魔導理論は空論だ」――婚約破棄と共に、天空都市の主席魔導技師セレスティアは追放された。
彼女がたった一人で守り続けてきた都市の心臓『浮遊核』は、あと三年で臨界崩壊する。市民避難を提言した彼女に返ってきたのは、慢心した貴族たちの嘲笑だけ。
前世は誰にも感謝されず、警告を握り潰され、過労で倒れたインフラ保守エンジニア。今世でもまた、上は現場の声を黙殺した。
だが――今世の彼女は、もう泣かない。すがらない。
「わかりました。では、後始末は皆様でどうぞ」
技師長の鍵と『核崩壊予測書』を残し、セレスティアは崩れゆく都を静かに捨てた。
地上で彼女を待っていたのは、三十年間、雲海に墜ちた人々の亡骸を拾い続けてきた竜騎士団長ガルデス。彼女の予測書に記された死者数は、彼が数えてきた墓標の数と、寸分違わず一致していた。
「俺が死体を数えていた三十年、お前は――生きて逃がす数を、数えていたんだな」
誰にも認められなかった彼女の数式が、今、初めて『正しい』と証明される。
墜ちた星の技師ギルド、始動。
前世で握り潰された警告を、今度は最初から――。冷静沈着な追放令嬢が、その知識と予測で地上に無双する痛快物語、開幕です。