あらすじ

織物工房の下働きが三人、同じ夜に消えた。身寄りがないので届も出ず、噂になったのはひと月後。切り刻まれただの埋められただの、誰も見ていないのでいくらでも言えた。 三日前、十四歳のコリンナが衛兵詰所へ出向いて、自分がやったと言った。遺体は一つも出ていない。 伯爵令嬢ミレーユは加護を授からなかった。そのかわり精霊が見えるが、この子たちが覚えているのは猫のあくびの回数や、干し紐が何本減ったかばかりで、何の役にも立たない。八つの年に一度だけ父へ打ち明けて、嘘つきと言われてから、誰にも言っていない。 侍女の制止を振り切って尋問室に入ったミレーユは、事件のことを何も訊かなかった。前世でクレーム対応を十二年やって身についたのは、話を最後まで聞くことだけだった。 誰も死んでいない。死んだことにしなければ、追われる子がいた。

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小説を読もう2026/09/19
  • 現在の作品精霊は事件を見ていません。この子たちが数えていたのは干し紐が三本と、猫のあくびが二度。その役立たずの数で、十四歳の自白を崩します