あらすじ
病室の窓から見える青空が、好きだった。
十六歳の少年・大葉叶斗は、生まれつき原因不明の病に侵され、人生の大半を病院で過ごしていた。
いつ訪れるとも分からない死を前にしても。
叶斗は、生きることを諦めたくなかった。
しかし、ある夜。
激しい発作の末に、その命は尽きる。
—— 次に目を覚ました時、頭上に広がっていたのは、病室の天井ではなく青空だった。
見知らぬ森。
瞬く間に塞がる傷。
身体から伸びる、人間には存在しない異形の器官 —— 「 喰管 」。
そこで出会った白龍は、叶斗へ告げる。
彼はもう人間ではない。
人間から「 吸血鬼 」と呼ばれ恐れられる存在 —— 鬼なのだと。
人の血を喰らわなければ生きられない身体。
飢えれば力を増し、その代わりに理性を失っていく。
かつて人間だった叶斗には、人を食糧として割り切ることができなかった。
人を喰らう身体と。
人を喰らいたくない心。
鬼を狩る人間。
人間を獲物とする鬼。
出会いを重ねるほど、叶斗は問い続けることになる。
—— 自分は、何者なのか。
—— 生きるためなら、人を喰らうのか。
これは、人間だった少年が人ならざるものとなり、それでも自分の生き方を探し続ける物語。
いつか —— 晴れた空を、心から見上げられるように。
※本作は「小説家になろう」にも同時掲載しています。