あらすじ
三十五歳、独身会社員の星崎冬馬。
仕事帰りに立ち寄った馴染みの中古ゲーム店で、1,200円のレトロゲームを買っただけ――のはずだった。
ところが創業記念の福引で、まさかの一等。
手に入れたのは最新ゲーム機PS6と、世界中で人気を集めるVRMMO《COSMIC EXPLORER》。
VRMMOという言葉すら知らなかった冬馬は、攻略サイトも見ず、効率も気にせず、初めてのオンラインゲームへ足を踏み入れる。
町の人には一人ずつ話しかける。
気になった道があれば寄り道する。
同じモンスターでも、納得するまで何度でも戦ってみる。
そんな遊び方をしていた冬馬は、町外れで一人の老人NPCと出会う。
ゲームの攻略には何の役にも立たない。
特別なクエストをくれるわけでもない。
ただ、冬馬の現実の話を面白そうに聞きながら、老人は笑う。
「外の世界は分からんが、面白そうじゃ」
その一言をきっかけに、冬馬にとって《COSMIC EXPLORER》は、ただクリアするだけのゲームではなくなっていく。
強さを競がなくてもいい。
誰かに追いつかなくてもいい。
一人で歩いて、話して、戦って、少しずつできることが増えていけばいい。
これは、ゲーム初心者の三十五歳会社員が、誰よりも急がず、自分のペースで広大な世界を旅していく物語である。