あらすじ
大戦を終結へと導き、後世にその名を残すこととなった「11英雄」。
神速、烈火、聖人、博愛の女神――。
華々しい二つ名と偉業によって、人々は彼らを英雄として称えた。
しかし、「英知」の名を持つ魔導士オルトリンデ・ダムロッシュは、そんな彼らの戦功ではなく、英雄たちがどんな人間だったのかを後世に残そうと考える。
大戦が終わった今、仲間たちは何を思い、何をしているのか。
酒に溺れる者。
英雄という立場に苦しむ者。
過去の罪を悔いる者。
富や地位を得た者。
愛する人と生きる者。
そして、かつての仲間に今なお複雑な感情を抱く者。
オルトリンデは一人ひとりを訪ね、その言葉を記録していく。
だが彼女自身もまた、仲間たちから見れば謎に満ちた存在だった。
英雄の名誉には興味を示さず、大戦後は復興と貧困の解消に奔走する「英知」の魔導士。
やがて英雄たちは、今度はオルトリンデ自身の過去と、その目的に目を向け始める。
戦争が終われば、英雄は必要なくなるのか。
英雄とは、完璧な人間なのか。
それとも――誰かを救おうとした、不完全な人間たちなのか。
これは歴史書には記されない、11人の英雄たちの素顔と、その後の人生を残す物語。
彼らが何を成し遂げたのかではなく、彼らが「どんな奴らだったのか」を伝えるための回顧録である。