あらすじ
妾の名は、タマモ。
主様よりいただいた、大切な名である。
普段は三毛猫。
時には人の姿を取り、家事をしたり、買い物へ出たり。
新しく越してきた家で、猫好きの主様と静かに暮らしている。
妾が望むのは、主様のおそばで穏やかに過ごすこと。
それだけである。
けれど、この街には人ならぬ者たちも暮らしていた。
喧嘩をした猫の妖。
水路に棲む小さな精霊。
居場所をなくした者。
何やら困ったことを抱えて訪ねてくる者たち。
一つ話を聞き、ひとつ揉め事を収めるうちに、
どういうわけか、妾のところへ相談事が集まるようになってしまった。
そうして少しずつ知り合いが増え、
時には少し普通ではない出来事へ巻き込まれながらも、
最後にはいつもの家へ帰ってくる。
主様と食事をし、
猫の姿で撫でていただき、
ときには人の姿で、その隣に座る。
これは、主様と妾と、少し変わった隣人たちの――
普通のようで、やっぱり少し普通ではない日々の物語。