あらすじ

現代日本で外科医として働く前村江理は、ある夜勤明け、目覚めると見知らぬ異世界――ピーコック村にいた。村長イアンが雇った召喚士シリルによって、本来呼ぶはずだった相手とは違う形で連れてこられてしまったのだ。  戸惑いながらも、「この村には医者が必要だ」と頭を下げるイアンを前に、江理は帰りたい気持ちを抱えたまま、村に留まる決意をする。村長の娘アイリスと出会い、二人で古いアトリエを診療所に変えていく中で、江理の外科医としての知識と、アイリスが持つ薬草の知恵が組み合わさり、この世界独自の医療が生まれていく。  やがてアイリスは、隣村パール村の幼馴染フィンとの結婚を決める。二村合同の祝宴で誰もが幸せに包まれたその日、婚礼は山賊の襲撃を受け、アイリスとフィンは負傷しながらも生還する。この事件をきっかけに、江理は山賊「山寨」の頭領一家のもとへ連れていかれることになる。  山寨で出会う人々、頭領の息子オスカー、そして古参の薬師マーサ。荒々しくも情の深い彼らとの日々の中で、江理の「帰りたい」という気持ちは少しずつ形を変えていく。  さらに物語は、前領主が突如失踪したガルド領、そして王都へと舞台を広げる。皇太子ルイスや国王アーサー一家との関わりの中で、江理の医術は思わぬ形で宮廷にまで届いていく。  そして終盤、隣国の王となったオスカーのもとで、江理はある「色」を目にする――かつてピーコック村で見た、あのピーコックグリーンと同じ色を。  村から始まり、山寨、ガルド領、王都へと広がっていく物語の中で、江理にとっての「帰る場所」は、一つではなくなっていく。

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カクヨム
カクヨム2026/09/19
  • 現在の作品異世界転移した女医ですが、帰りたいのは元の世界だけではなくなりました ~辺境の村から始まる異世界診療記~