あらすじ
国民の行動を監視し、国家を最適化するAI《天網》。
その予測精度が、なぜか低下し始めた。
原因を突き止めた研究者ユエは、一つの仮説を立てる。
――監視されている人間は、監視者が望む行動をする。
仮説を検証するため、人口十一万人の都市で「言論の自由」を認める国家実験が始まった。
政府を批判しても逮捕されない。
最高指導者を風刺しても処罰されない。
やがて都市では、研究、経済、行政、そしてAIの予測精度まで改善していく。
「自由は、国家を強くする」
ユエはその結果を、国家への忠誠心から最高指導者へ報告する。
しかし彼女は、一つだけ気づいていなかった。
**国家の利益と、独裁者の利益は同じではない。**
そしてユエが消されたとき、すべてを観測していたAIは、新たな仮説を立てる。
――この国家にとって、最高指導者は本当に必要なのか。