あらすじ

「レオノーラ・アシェンヴァルト! 貴様との婚約を、ここに破棄する!」 卒業記念夜会。公爵令嬢レオノーラに突きつけられたのは、いじめの断罪だった。 だが彼女は、凍りついた大広間でただ一人、拍手をした。 「お見事ですわ、殿下。三日前にお渡しした原稿の、一字一句その通りでございましたわ」 王太子ジークハルトは、文章が書けない。 公式書簡も、演説草稿も、外交の宣誓文も──この八年、そのすべてを書いてきたのは、婚約者であるレオノーラだった。 今夜の、婚約破棄の口上さえも。 そして殿下が新しい恋人に宛てた、四十七通の恋文も。 「あの手紙に書いた言葉は、すべてわたくしのものでしたわ。──宛名だけが、わたくしのものではありませんでしたけれど」 八年分の原稿の余白には、三度、赤字で警告が書かれていた。 殿下は、ただの一度もお読みにならなかった。 代筆令嬢の、最後の仕事が始まる。

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小説を読もう2026/09/19
  • 現在の作品殿下、その断罪の口上、代筆したのはわたくしですわ