あらすじ
異世界に転移した元会社員・相馬悠真は、戦闘能力ではなく「育てたものを、育てた分だけ強くする」謎の固有スキル《恵みの手》を授かった。役に立たないスキルだと笑われ、王都から遠く離れた辺境へ追放された悠真を拾ってくれたのは、貧しいが温かい小さな村の人々だった。畑を耕し、パンを焼き、壊れた水車を直す。悠真は初めて、自分の居場所を見つけた。――だが、平穏は一夜で奪われる。魔族の襲撃によって、悠真以外の村人は全員殺された。怒り。涙。悔しさ。逃げたくなるほどの絶望。それでも、最後に託された「生きろ」という願いを胸に、悠真は剣を取る。ただし、世界を征服するためではない。二度と、大切な人を奪わせないために。やがて彼の畑で採れた作物は国を救い、彼が建てた小さな家には傷ついた少女や落ちこぼれの獣人、居場所を失った元勇者たちが集まってくる。最強なのに、本人はのんびり暮らしたい。静かな生活を守るためなら、世界最強の力を惜しみなく振るう男の、怒りと涙から始まるスローライフ異世界譚。