あらすじ
日本に迷宮が出て、三十年。
魔物討伐は産業になり、世の中はすっかり慣れた。
加納誠一、四十三歳。害虫駆除業者。
迷宮には入らない。潜らない。厨房のゴキブリと、床下のシロアリを二十年やってきた。
ある日、冒険者ギルドから電話が来る。
市街地のビルに魔物が出た。A級冒険者が五度討伐し、五度全滅させた。
そして六度目が湧いた。
現場を見た誠一は、一言で片付ける。
「これ、討伐じゃないです。繁殖です」
冒険者は強い。だが生態を知らない。
何を食べるか。いつ産むか。どこから入るか。何を嫌うか。
倒すのではなく、巣を絶つ。経路を塞ぐ。餌を断つ。誘引して一網打尽にする。
ゴキブリとシロアリに効く理屈は、そのまま異形にも効く。
――三十年、誰も巣を探さなかっただけだ。
全32話。完結まで書き上げ済みです。九月二十三日に完結します。