あらすじ
ゲーム内のニュース欄に、一行だけおかしなものが出ていた。
「東京で大規模停電。復旧の見通しは立っていません」
俺の作ったゲームに、東京という都市は無い。無いものの記事が出るなら、参照先の指定を間違えているだけの、よくある不具合だ。まあ、そういうこともあるし、続きは明日でいい。
30分後、部屋の電気が消えた。
モニターが落ちて、エアコンの音が止まり、それきり何も聞こえなくなった。窓を開けると、向かいのマンションが真っ暗で、その先の通りも消えている。左のずっと奥だけ、一角が明るいままだった。
ニュースを開いた。東京の広い範囲で停電が起きていて、原因は調査中だと書いてあった。
ゲームの中に記事が出てから、ちょうど30分が経っていた。
偶然という言葉を頭の中で3回転がして、3回とも捨てた。
「あー、これ俺のせいだ」
声に出したら、わりとすっきりした。理屈はまだ分からないが、自分のゲームから出た記事が30分後に現実で起きているなら、直すのは俺の仕事だ。
管理画面を開こうとして、弾かれた。
自分で書いたコードに、権限がない、と出る。残っていたのは、開発初期に自分用に作ったテストアカウントだけだった。
PLAYER 0001。100万人中、999,842位。
自分が作った世界を、いちばん下から登り直すことになる。
直す側に回るには、順位を上げるしかない。
ただし、強さは順位にならない。その方法を俺だけが知っている。
掲示板の誰かが、俺を「0001(ゼロゼロゼロワン)」と呼びはじめる。
ゲームの出来事が現実に反映される。
東京から地方、やがて政府まで巻き込む、現代ゲームファンタジー。
ある者は、それを「守り神のご加護」と呼んだ。
ある者は、災いをもたらす存在だと恐れた。
その正体を、誰も知らない。
※全4巻180話・約35万字。完結まで書き上げ済みです。毎日更新で、最後まで読めます。