あらすじ
余り物だけで、世界を救おう。
ハズレスキル×冷遇ジョブ×美少女十二人。
意味不明な能力を連鎖させて格上をぶっ倒す、ピタゴラスイッチ式・追放ファンタジー!
俺の歌は、味方には一切効かない。
そのかわり、敵には必ず効く。――『バフ』が。
魔王城攻略を目前にして、吟遊詩人セロは勇者パーティを外された。
仲間を強化できず、敵を弱体化する歌は格上には抵抗される。なのに敵を強化する歌だけは必中。しかも歌い切るまで数十秒。
そんな吟遊詩人を最終決戦に連れていけるはずがない。
幼馴染の勇者の判断は正しい。
仕方ない。でも、ちょっと寂しい。
一人で王都へ戻る途中、セロが最初に出会ったのは、妙に低テンションな呪術師ミサキだった。
彼女の呪術は強力だ。
ただし、面倒な条件を満たしたときしか発動しない。
たとえば――対象のレベルが五の倍数なら、必中・抵抗不可で即死。
「敵のレベル、今47か。じゃあ3上げよう」
「……」
「どうした?」
「ヌルゲーです」
敵をわざと強化してレベル50にする。
そこへ条件付き即死を叩き込む。
――あれ?
これ、組み合わせたら使えるんじゃないか?
それが始まりだった。
YES/NOでしか答えない、気まぐれな猫耳巫女。
勘だけで戦場の地形を書き換える、ギャルの風水師。
細かすぎて盗賊ギルドを追い出された、元事務方のシーフ。
魔法の道具が作れない、ドワーフの鍛冶師。
敵に見られることしかできない、魔族のお姫様兼踊り子。
ブレスが「ぼっ」としか出ない、魔力切れの黄金龍。
さらに錬金術師、美少女ゴーレム、薬師、商人、学者――。
総勢十二人。
全員、美少女。
全員、音痴。
ひとりひとりは、どう考えても使いにくい。
けれど、敵の状態を動かす。
地形を動かす。
視線を誘導する。
条件を確認する。
道具を作る。
そして最後に、成立した条件を叩き込む。
弱い能力と、使い道のない能力と、どうでもよさそうな行動が連鎖して――なぜか格上が死ぬ。
一方そのころ。
勇者たちが攻め込んだ魔王城は、囮だった。
本物の魔王軍が狙うのは――勇者のいない王都。
「……って、なんでこっちに魔王が来てんの!?」
勇者は魔王城。
王都にはいない。
なら、仕方ない。
選ばれなかった“余り物”たちが、勇者の代わりに世界を救う。
ハズレスキル? 冷遇ジョブ? 掛け合わせれば、バグになる。
※追放ものですが、ざまぁは控えめです。勇者はちゃんと強いし、主人公は今でも勇者を尊敬しています。