あらすじ
神王暦3250年――世界は半壊していた。
五百年前、魔人の襲撃によって五つの王国は崩壊し、文明は瓦礫となった。人類は生き延びるため、力を持つ者に頼った。しかし、力を恐れた人々は“本物の勇者”ではなく、偽りの勇者を次々と生み、称号だけを継がせて世界を繋いだ。それでも人類は滅びの淵に立たされていた。
広大な森の中、孤独なエルフの少女・リリシアは、まだ幼い頃に一人で生き延びていた。そこで彼女に手を差し伸べたのは、長い歳月を生きる本物の勇者・セリオン。
神により創られた存在であり、五百年以上を生き続けた彼は、人類のために戦うこともあったが、その力は恐れられ、伝説となった。
リリシアはセリオンに育てられ、森で安全に暮らす日々を送る。冒険者でも、勇者でもない――ただ彼の側で成長する子供として。
やがて、砂漠や廃墟を巡る旅の中で、セリオンはリリシアに自身の正体を明かす。神によって生み出された本物の勇者であること、そしてその力は、人類を救うどころか歴史を振り返ると破壊をもたらしてきたことを。
リリシアは信じられない現実に戸惑う。しかし、彼女と共に生きる中で、セリオン自身はその力の重さと孤独に向き合わざるを得ない。
そして、セリオンの力で自らは救われる――だが世界は滅びる道を進む。
保護者として、子として、そして“勇者”として――二人の絆は、希望と破滅の狭間で揺れ続ける。
生み出された力が、救いではなく破壊となるとき――
世界に残されるものは、何か。