あらすじ
「カルマ・クロニクル・ナインエンド」の全ルートを攻略した俺は、存在するはずのない幻の第10エンディング――通称「皆殺しルート」の存在を知った。
メインの仲間が全員主人公ヴァイスに殺される謎のルート。
どうしてそんな結末に至るのか。
その先に何があるのか。
好奇心に駆られた俺は、ゲーム世界へ行ってみたいと願った。
そして目を覚ますと、そこは本当に「カルマ・クロニクル・ナインエンド」の世界だった。
だが、転生したのは主人公ヴァイスではない。
ヴァイスに救われるだけの、ステータスオール1のいじめられっ子NPC――ホルツだった。
本来なら、物語の脇役として何度も理不尽な目に遭い、主人公の善性を育てるためだけに存在するキャラクター。
けれど俺は、このゲームを誰よりも知っている。
ゲーム知識を駆使して称号を獲得し、ヴァイスと共にレベルを上げ、存在しなかったイベントを次々と引き起こしていく。
しかし、ある日迷い込んだ謎の遺跡で、ゲームには存在しない古代文明の壁画を発見する。
そこに描かれていたのは、ゲームの歴史とは正反対の光景だった。
勇者と大魔王が手を組み、天使と戦っている。
そして、本来なら三か月後に登場するはずの聖女ヘラが、予定を大きく外れてホルツたちの前に現れる。
――もう、この世界は俺の知っているゲームではない。
やがてホルツは気づく。
人間は魔族と戦うために生まれたわけではない。
天使に選ばれ、力を与えられるために存在するわけでもない。
もし、この世界の人間たちが天使にも魔族にも利用されているのだとしたら。
俺が目指していた「皆殺しルート」の意味も、変わってくる。
天使も、魔族も、ゲームのシナリオすらも。
全部ぶっ壊して、人間だけの時代を作る。
これは、ゲームの主人公ではなく、ただのNPCだった少年が、自らの意思で運命を書き換えていく物語。
――俺が、この世界の「皆殺しルート」を作ってやる。