あらすじ
「愛されることなんて、きっとない」
家のために、会ったこともない公爵との政略結婚を受け入れたエレナ。
夫となったカイル・ヴァレンシュタイン公爵は、社交界で「氷の公爵」と呼ばれる冷酷な男だった。
けれど――。
「寒くないか?」
「無理をするな」
「今日は私のそばにいろ」
なぜかエレナにだけ、彼は優しい。
戸惑いながらも少しずつ距離を縮めていくエレナだったが、自分は政略結婚の相手にすぎないと思い込んでいた。
「私たちは、いつか離縁するのでしょうか?」
そう尋ねた瞬間、カイルの表情が初めて崩れる。
「……君は、私と離れたいのか?」
実はカイルは、結婚が決まるずっと前からエレナだけを想い続けていた。
政略結婚でも構わない。
ただ、彼女が自分の妻になってくれるのなら――。
「最初から、君を手放すつもりなどない」
冷酷公爵の仮面の下に隠されていたのは、誰よりも一途で重い愛だった。