あらすじ
十五世紀、百年戦争のただ中にあるフランス。
小さな村ドンレミで暮らす少女ジャンヌは、ある日「声」を聞く。
フランスを救い、王太子シャルルを戴冠させよ――。
神の使命を信じた少女は故郷を離れ、やがて軍勢の先頭に立つ。
嘲笑されても退かず、傷を負っても立ち上がり、絶望に沈んでいた兵士たちを奮い立たせるジャンヌ。オルレアンの包囲を破り、王をランスの戴冠へ導いた彼女は、人々から「乙女」と呼ばれる英雄となっていく。
しかし、勝利は永遠には続かなかった。
敗北、政治、孤立、そして捕縛。
剣も旗も仲間も失ったジャンヌを待っていたのは、同じキリスト教の聖職者たちによる宗教裁判だった。
神を信じるとは何なのか。
同じ神を信じる者同士が殺し合う時、神は誰の側にいるのか。
宗教は人を救うのか、それとも縛るのか。
誰かの言葉に従うことと、自ら信じて生きることは何が違うのか。
死を恐れ、迷い、苦しみながらも、強さと気品を失わなかった一人の女性。
これは「聖女」という名の向こう側にいたジャンヌ・ダルクが、自分の信じるものと向き合い続けた物語。