あらすじ
深夜の喫煙室。一ヶ月かけて培養した細胞データを、自分のくだらない操作ミスで全部飛ばした。ヨレヨレの白衣、点かないライター、自己嫌悪。
そこに横から火を差し出してきたのが、営業部のエース・成瀬桜史郎だった。同期で、部署違いで、深夜にたまに同じ煙草を吸うだけの男。
「ぶっちゃけ、紺野の顔とか性格とか、俺全然好みじゃないんだけどさ」
身体目当てだと言い切られた。結構。こっちも一ヶ月分の絶望を上書きしたいだけだ。
(……精々、最高級の道具として稼働しなさいよ。エース様)
翌朝、「ストレス発散になりました。便利でした」と言って別れた。それで終わるはずだった。
——その日から、あの男の様子がおかしい。
「俺をただの道具だと思っててもいい。バイブでも、ルンバでも。……その代わり、ずっとここにいさせろよ。一生、俺に飼われてろよ」
好みじゃないと言ったくせに。
身体目当てだと言ったくせに。
飼っていたのは、どっちだったのか。
※性描写があります。
※理屈で生きてきた研究職の女が、理屈ごと溶かされる執着溺愛ものです。