あらすじ
ソラの心臓が止まる時刻を、機械は午前零時と告げた。
同じ心臓病を抱える、二十二歳のリクとソラ。
実験的な治療によって、二人はそれぞれ五メートルのケーブルで、一基の生命維持装置〈対心臓〉につながれている。
研究施設から職員が姿を消して半年。
リクは設備を直し、ソラは食料と電力をやりくりして、二人だけの暮らしを守ってきた。
けれど今夜、損傷したソラの体内回路は限界を迎える。
二人を支える心拍核も、すでに消耗しきっていた。
ソラを失い、一人で使うようになっても、リクの命をつなげるのは約六時間。
夜明けには心拍核が止まり、彼の心臓も止まる。
「違う。俺に使う出力をソラに回せば――」
彼女を救おうとするリクと、残された時間を彼の隣で過ごしたいソラ。
二人には、病院の外で一緒に日の出を見るという約束があった。
先に死ぬのが不幸なのか。
愛する人を失い、生き残るのが不幸なのか。
食事も、時間も、心臓さえも分け合った二人の、最後の夜。