あらすじ
人には、どうしても忘れたい記憶がある。
深夜、ひっそりと扉を開く「記憶屋」。
そこを訪れるのは、後悔、喪失、罪、悲しみ――誰にも言えない記憶を抱えた人々。
店の主人にできるのは、記憶を消すことではない。
依頼人からその記憶を抜き取り、自分自身の中へ引き取ること。
依頼人は忘れ、救われる。
だが主人だけは、その痛みを決して忘れない。
そんなある雨の夜、一人の少女が店を訪れる。
「私……毎晩、死ぬんです」
彼女の中から見つかったのは、本来そこにあるはずのない“誰かの記憶”。
そしてその記憶は、十二年前に姿を消した主人の妹へと繋がっていた。
忘れることは、本当に救いなのか。
苦しい記憶にも、残しておく意味はあるのか。
一話完結の人間ドラマと、少しずつ明らかになる大きな謎が交差する、記憶をめぐる現代ファンタジー・ミステリー。