あらすじ
若い試合仲介人カイ・ローデンは、金に困る独立剣士リゼ・アルヴァに持ちかけた。
「次の試合、負けてくれ」
公認試合では禁じられた、勝敗を先に決める裏取引。
リゼは意味を理解した。金も受け取った。ちゃんと負けると約束した。
――なのに試合の最中、一瞬だけ「勝てる」と分かる隙が見えた。
リゼは踏み込んだ。
そして、勝った。
「なんで勝った!?」
「勝てたから」
裏金は返却。カイは赤字。予定していた仕事まで飛んだ。
それでも、観客が沸いたリゼの本気の試合を見て、カイは気づく。
こいつ、負けさせるより、本気で戦わせた方が売れる。
こうして始まったのは、対戦相手、日程、報酬、会場――試合の“外側”を組む男と、試合が始まれば目の前の情報で予定を壊す女剣士の仕事。
隙をくれない相手。
リゼを研究して待つ相手。
考える暇そのものを奪う相手。
そして、リゼが「何を読んだか」まで利用してくる上位剣士。
勝って、負けて、条件を組み直す。
カイがどれだけ完璧な試合を用意しても、始まった後の勝敗までは決められない。
――そしてたぶん、それでいい。
闘技場の裏方仕事と本気の剣戟。
「次もこいつと組みたい」が少しずつ増えていく、喧嘩相棒ファンタジー。