あらすじ
「ごみを漁るな! 獣人の子!」
人間に生まれ、人間の親に捨てられ、狼獣人の夫婦に拾われて育った鍾叡秀。
狼の両親を亡くして十数年が経ち、いまは山を降りている。獣人差別の色濃い翠煌国の宮城で、御膳官として働いていた。
父は「人間の幸せを生きてくれ」と、遺言を残した。
しかし、三十歳が目前になっても、言葉の真意はわからずにいる。
そんな叡秀が、狩猟場で飢えた獣人の兄弟を拾う。
黒虎の侑浬は十歳。白兎の侑珠は、まだ五歳。
侑浬は「虎の寿命は短いから、弟の里親を探してる」と言った。
だが、叡秀は二人に疑念を抱く。野生育ちのような口ぶりだったが、侑浬は政治も経済も理解していた。
けれど人間を憎み、犯罪にひどく怯える。それでも、叡秀には心を開き、懐いてくれた。
日々を過ごすうちに、叡秀の日常は大きな変わっていく。
『獣人の子』として生きる人間の男が、獣人の子どもの親になる物語。