あらすじ
大学三年生の高山紅葉は、アンティークと古い街並みを愛する、ごく普通の女子大学生。
ある日、京都の古い街並みに迷い込んだ紅葉は、見覚えのない美しい洋館を見つける。
そこで出会ったのは、天城蓮と名乗る美しい男だった。
甘い紅茶。
色鮮やかなステンドグラス。
どこか浮世離れした館の主人。
不思議な時間を過ごしたはずなのに、翌朝、紅葉には館を出てからの記憶がなかった。
もう一度あの場所を探しても、洋館はどこにも存在しない。
地図にもない。
人に尋ねても、誰も知らない。
それなのに、紅葉は再び蓮と出会う。
やがて彼女は知ることになる。
蓮が人ならざる存在であること。
あの洋館が、普通の人間には見えないこと。
そして、自分自身にも知らない秘密があることを。
人の心を惑わせ、望むものを手に入れてきた男と、
そんな彼に「私はあなたのものじゃない」と告げる紅葉。
二人が出会ったとき、長い間閉ざされていた境界が、少しずつ動き始める。
これは、人を愛する方法を知らなかった男と、
自分の人生を自分で選ぼうとする女性が、
「誰かと生きること」を選ぶまでの物語。