あらすじ
東京学芸大学を除籍となったギタリスト・海瓶晴瑠薫は、ライブハウスの急な欠員を埋めるバンドマン・ネットワーク「HACHIMAKI」の精鋭として、名を残さず他人のステージを成功へ導いていた。ある夜、下北沢TRANXで代役を務めた海瓶は、東京藝術大学大学院で声楽を学びながら同店の日雇いスタッフとして働く折木摩梨紗と出会う。
正確無比な歌声を持ちながら、ロックの舞台に立つ機会を求める摩梨紗。海瓶は彼女の歌を「うますぎる」と退けるが、出演直前にボーカルを失ったユニットの空き枠を埋めるため、わずか十分で摩梨紗にロックを教えることになる。仕掛けで観客を操る名もなきギタリストと、正しく歌うことしか知らない声楽家。二人の即席ステージから、音楽と労働と才能をめぐる小さな魔女裁判が始まる。